(昭和天皇在位60年記念1万円銀貨の偽造について)
謹啓 春暖の候、今年は1月初めに天皇在位60年記念1万円銀貨の偽造が市中金融機関に持ち込まれ630万円の被害が発生しました。過去の例として年末年始は偽造券が出回る確率が高く、年間のピークと言えるでしょう。現金取引が活発になる時期であることが遠因であることは間違いありません。それに加えて寒さも一役買っている可能性があります。と言うのは、2005年の年末年始に岩手県中尊寺や宮城県竹駒神社等の東北地方で初詣に出店した露店商が偽造一万円の被害に遭いました。
業者の多くは防寒のため手袋を着用し、元旦の初詣で、あたりは薄暗く、仮設の露店には防犯カメラもなく、万一発覚した場合は初詣の人混みに紛れて逃走が可能で、言わば安全に偽造行使ができる環境が整っているわけです。東京の明治神宮や京都の伏見稲荷神社など同時・多発・広域に発生した事件でした。
話は偽造記念銀貨に戻りますが、当該銀貨はもちろん本物であればですが、法定通貨と位置づけられるため強制通用力があります。そのため市中金融機関は預金や両替に応ずる義務があることから窓口業務として対応したと思われます。しかしながら、ここに盲点があります。と言うのは窓口担当者が必ずしも全ての記念硬貨に精通しているわけではないからです。
さらに金融機関の窓口には、一種の鑑定マニュアルとして通貨図録が配備されています。多くは硬貨や紙幣の画像が掲載されています。印刷紙面のため本物の硬貨の光沢や質感を確認することはできず、精度には限界があります。言わばこの精度の限界と制度の遵守の重合が盲点となり、そこを突かれた事件と言えるでしょう。
古銭商や金券ショップが狙われなかったのは、決して偶然ではなく、商売人の鑑定眼の厳しさを知っている犯人らは敬遠したに違いありません。日本もDX社会を目指す方向にあって、今後ますますキャッシュレス化がすすむことが予想されます。そのためこれからも普段見慣れない通貨すなわち記念紙幣や硬貨の偽造券、さらには流通が停止した旧券の偽造が増大する可能性が予見されます。
変幻自在の波状攻撃も想定されます。また効果的な偽造行使はそれが手本となって模倣犯を呼び、事件が増幅する可能性も秘めています。キャッシュレス化がすすめばすすむほど、今後窓口においては鑑定眼を高める必要があるでしょう。謹白(2026/03/21追記)
【外貨両替機のマネロン対策機能に関する特許取得について】
弊社では、紙幣鑑定機および外貨両替機に関する各種特許を取得しておりますが、このたび審査中でありました「外貨両替機のマネーロンダリング対策機能」に関する特許出願が、本年11月6日付で確定し、正式に特許登録されました(詳細情報は「お知らせ→特許情報参照」)。
当該特許の主な内容は、「高額取引監視機能」ならびに「移動取引監視機能」であり、自動機でありながらネットワークシステムを活用することにより高度なマネーロンダリング対策を可能とするものです。さらに、パスポートリーダーを搭載することで、資産凍結対象者の検索にも対応しております。
従来、外貨両替機は一回の取引が十万円以下であり、ホテルのロビー等の閉鎖空間に設置されることから、マネーロンダリングとは無縁とされてまいりました。しかしながら、コロナ禍における金融機関の撤退や既存両替商による対策強化を背景に、近年は手続不要の外貨両替機の利用が増加しております。
設置施設の多くはホテルや商業施設であり、場所を提供するのみの委託設置方式を採用しているため、行政の指導監督を受けるのは運営業者となります。しかし近時、知らぬ間にマネーロンダリングの舞台として利用されることはコンプライアンス上問題があるとの認識を持つ施設が増えております。
2028年にはFATF第5次対日審査が予定されており、財務省は外貨決済を行う宿泊施設や商業施設(外貨両替機の委託設置を除く)に対し、日銀レポートやマネーロンダリング対策研修を含む法令遵守を呼びかけております。これは昨年4月施行の改正外為法を契機とした動きであり、今後さらに対策強化が進むものと見込まれます。
弊社は、委託設置であっても場所を提供いただく施設にご迷惑をおかけしてはならないとの信念から、外貨両替機のマネーロンダリング対策に特段の力を注いでおります。今回の特許取得もその姿勢を示すものでございます。
今後、外貨両替機に関するマネーロンダリング対策についてご懸念がございましたら、ぜひ弊社へご相談ください。弊社は業界唯一のメーカー直営による運行管理を行っており、マネーロンダリング対策や安全対策についても関連団体を通じて各種セミナーを開催し、積極的に取り組んでおります。
何かございましたら弊社担当営業に遠慮なくお知らせください。敬具
日本シーディーアール株式会社 代表取締役 遠藤智彦