6.旅行小切手におけるサインかいざん(Washed券)の実験事例

 偽・変造旅行小切手において行われるサインのかいざんや押印された使用済みスタンプの除去などは、自然光での目視による鑑定ではなかなか発見しにくい。
漂白などによる消去の痕跡は紫外線光の照射によって発見が容易となる。本稿では実際の偽・変造事例を再現した。


A)「MASTERCARD」旅行小切手
【写真上】表面のオリジナルサインを抹消した部分では青色地紋の斜線のみとなり、白抜き連続文字の青色地紋は抹消される。抹消液の痕跡が褐色の汚染となって残る。

【写真下】表面のオリジナルサインを抹消した部分に紫外線を照射すると、抹消液の痕跡が濃い汚染となって現れる。


B)「MASTERCARD」旅行小切手表面の蛍光写真

 表面に紫外線光を照射すると中央の褐色印刷の部分が黄色の蛍光を発し、さらに用紙に混抄されている無色蛍光繊維(オプティカルスレッド)が淡い青色に発光する。

【写真右】裏面の紫外線蛍光写真では表面のオリジナルサイン部分の抹消、が裏面まで浸透するため、抹消痕が濃い汚染となって現れる。
鑑定機MCD-500型を使用する場合はモード切替「UVL」にセットし、蛍光反応の有無を鑑定する。実際の偽・変造事例では刃物やサンドペーバーなどでサインを剥離する事例も多い。この場合本来あるべき蛍光部分も同時にとられてしまうため蛍光を発しなくなる。
B)「CITYCORP」旅行小切手

【写真上】表面のオリジナルサインを抹消した部分では緑色連続文字の地紋が抹消される。抹消液が付着した部分は漂白されている。
【写真下】表面の才リジナルサインを抹消した部分に紫外線を照射すると、抹消液の痕跡が濃い汚染となって現れる。
                         
【写真右】裏面の紫外線蛍光写真では表面のオリジナルサイン部分の抹消液が裏面まで浸透するため、抹消痕が濃い汚染となって現れる。
鑑定機MCD-500型を使用する場合はモード切替「UVL」にセットし、蛍光反応の有無を鑑定する。実際の偽・変造事例では刃物やサンドペーバーなどでサインを剥離する事例も多い。この場合本来あるべき蛍光部分も同時にとられてしまうため蛍光を発しなくなる。
C)「VISA」旅行小切手
【写真上】表面のオリジナルサインを抹消した部分に抹消液の痕跡はのこるものの、大きな変化はない。
【写真下】表面のオリジナルサインを抹消した部分に紫外線を照射しても蛍光インクの影響を受けて、抹消液の痕跡が明瞭には現れない。
【写真右】裏面の紫外線蛍光写真では表面のオリジナルサイン部分の抹消液が裏面まで浸透するため、抹消痕が濃い汚染となって明瞭に現れる。
鑑定機MCD-500型を使用する場合はモード切替「UVL」にセットし、蛍光反応の有無を鑑定する。実際の偽・変造事例では刃物やサンドペーパー粗どでサインを剥離する事例も多い。この場合本来あるべき蛍光部分も同時にとられてしまうため蛍光を発しなくなる。
D)「AMERICANEXPRESS」旅行小切手

 【写真上】表面のオリジナルサインを抹消した部分の波形地紋が抹消され、抹消液の痕跡が褐色の汚染となって残る。【写真下】表面のオリジナルサインを抹消した部分に紫外線を照射すると抹消液の痕跡が褐色の汚染となリより明瞭に現れる。文字の抹消痕の褐色の汚染の中に、細い青色の平行線が検出される。
【写真右】裏面の紫外線蛍光写真では
表面のオリジナルサイン部分の抹消液が裏面まで浸透するため、抹消痕が濃い汚染となって明瞭に現れる。
鑑定機MCD-500型を使用する場合はモード切替「UVL」にセットし、蛍光反応の有無を鑑定する。実際の偽・変造事例では刃物やサンドペーパーなどでサインを剥離する事倒も多い。この場合本来あるべき蛍光部分も同時にとられてしまうため蛍光を発しなくなる。

7.アメックスユーロ旅行小切手
A)「AMERICANEXPRESS」旅行小切手表面の普通写真
EUR旅行小切手は機械判読のためMICR(MAGNETIC INK CHARACTER)を採用しているが表面には欧州仕様のフォントであるCMC7(部分@)、裏面には米仕様のE13B(部分A)を採用している。一般的にこの様な磁性インクによる印刷はコスト高となるため、過去に発見された偽造旅行小切手の大半は非磁性インクで印刷されている。また随所に凹版印刷の特徴であるインタグリオ(イ
ンクの盛上リ)がみられる。シグネィチャー欄のアンダーライン(部分B)は文字サイズ200ミクロンのマイクロ文字によって描かれている。
B)「AMERICANEXPRESS」旅行小切手表面の蛍光写真表面に紫外線光を照射すると無色蛍光印刷によって、オリジナルサイン欄及びカウンターサイン欄に帯状の黄色の蛍光を発する。

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