7.透過光による鑑定
1)透過光で見た
         表面全体
 紙幣を透過光で見るとセキュリティースレッドやすかしはなどに様々な現象が現れる。
 真正券の紙厚は0.13mmである。すかしは紙の凹凸で再現されている。
真正券
 偽造券においても透過光の鑑定要素は視認し得る状態に再現されている。全体としては紙の色が異なる点が見受けられる。用紙の色合いが真正券よりやや黄ばんだように見える。
 偽造券の紙厚は0.12mmである。
偽造券
2)すかし
 真正券のすかしは抄造工程中、紙に凹凸をつけ、厚みが変わることで透過画像に濃淡(明暗)がつき、肖像画などのモノトーン画像を表すことができるわけである。肖像画すかしのほお、髪などにその特徴であるグラデーション(階調=濃淡が徐々に変化)が見受けられる。
 
真正券
階調=グラデーションが見られる   
 一方、偽造券では用紙とほぼ同色のインクで印刷によって再現されている。そのため真正券のすかしのような立体感が見られない。真正券が、いわば奥行き(紙の凹凸)をもった3次元の加工で表されているのに対し、偽造券では用紙の平面に印刷した2次元的な画像にすぎない。
偽造券
  印刷のため階調は見られない
3)セキュリティースレッド(混抄安全線)
 真正券では用紙中に約1mm幅の帯状金属泊が埋め込まれ、いわゆる抜き文字で「100 RMB」の文言が上下、表裏に反転しながら連続印刷されている。
真正券
 真正券ではセキュリティースレッドが混抄されてい部分の用紙の状態は厚みの干渉を受けるため、やや盛り上がっている。
真正券
(斜光線による)

 用紙中に物理的に存在している
 偽造券では、用紙中にセキュリティースレッドとしての物性的な実体は存在せず、鑑定人の外観的に誤認を誘うべく、印刷で再現されている。
偽造券
 当然、セキュリティースレッドは混抄されていないため、盛り上りなどは見受けられない。
偽造券
    物理的な存在がない
4)合わせ印刷(透過による表裏画像の重合)
人民元(新デザインのみ)には表裏ともに、1面だけでは意味を成さない模様(または符号)が印刷されている。右の写真にみられる赤い円と半円状の受話器に似たマークがそれだ。
表面
  裏面にも同じマークが、異なる色で印刷されている。 裏面
           拡大して表裏重合
 真正券ではこの部分を透過光でみた場合、表裏の赤い円と半円状マークがピタリと重合し、真円状になるよう位置が決められており、正確に印刷されている。
真正券
  透過で表裏の模様が一致する
 しかしながら、偽造券では表裏を合わせる技術に問題があるため、二重の画線となり受話器に似たマークも真正券のようにピタリとは重合しない。人民元を素手により目視で鑑定せざるを得ない場合では、有力な鑑定ポイントになると言えよう
偽造券
    表裏の模様がズレている
8.紫外線発光による鑑定(全体写真)
 1)紫外線で見た
     真正券の表面
 真正券に紫外線、いわゆるブラックライトを照射する。金種マーク「100」が橙色に、無数のオプティカルフィラメント(光学繊維)が黄色と青色に蛍光発光する。なお、オプティカルフィラメントは自然光では無色であるため、視認できない。
真正券
@ 真正券ではすかし部分は画像として反射蛍光によってが浮かび上がることはない。
A 真正券の金種マークはくっきりとした、あざやかな橙色である。
真正券    
        @すかし(見えない)             A橙色の金種マーク
 2)紫外線で見た
     偽造券の表面
 偽造券では用紙そのものが青白く蛍光発光している。金種マーク「100」は不鮮明な黄緑色に蛍光発光し、オプティカルフィラメントは青色発光するもの極わずかに見受けられ、真正券との差異が際だっている。
偽造券
B 偽造券ではすかしを印刷で再現しているため、蛍光反応し、画像として浮かび上がる。
C 偽造券の金種マークは、やや不鮮明で黄緑色の蛍光発色となっている。
偽造券    
        Bすかし(見える)             C不鮮明、黄緑色の金種マーク


※紫外線について
紫外線と透過光の発光
紫外線・透過鑑定機UVD−1型
 3)紫外線で見た
     真正券の裏面
 星印を中心とする波紋状の幾何学模様はやや赤みがかった蛍光発光を示している。
真正券
 4)紫外線で見た
     偽造券の裏面
 星印を中心とする波紋状の幾何学模様はやや黄色みがかった蛍光発光を示している。
用紙が青白く発光する点、すかしが浮かび上がる点は表面の場合と同じである。
偽造券
9.赤外線発光による鑑定(全体写真)
 1)赤外線で見た
     真正券の表面

 赤外線吸収あるいは透過インクによる施工は先進の偽造対策であるが、人民元においても記番号とシフティング・カラード・インク以外を透過する性質を持っている。
真正券
 2)赤外線で見た
     偽造券の表面
 赤外線については偽造券も真正券とほぼ同様の反応を示す。同仕様の結果が意図的なものか、偶発的なものか伺い知れないが、100元は全体的に赤インクで印刷されていることから偶然の結果と思料される。
偽造券
 3)赤外線で見た
     真正券の裏面
 真正券では裏面中央部分に印刷された建物が視認できる。さらにセキュリティースレッドの痕跡が視認できる。
真正券
 4)赤外線で見た
      偽造券の裏面
 偽造券ではほとんど視認できない。セキュリティースレッドについても印刷で再現されているため極めてうすい画線となり、真正券とは異なる反応と言える。
偽造券

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