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                              はじめに

 2008年8月29日、報道によれば、「コロンビアの首都ボゴタで同国警察などの協力により、偽造ユーロ紙幣の印刷所を摘発し、額面総額1100万ユーロ(約17億6000万円)の偽造紙幣を押収し、印刷所の経営者を逮捕したと」とのことで、大規模な偽造ユーロ事件が発生した。

 偽造ユーロ紙幣は2002年の発行とほぼ同時に出現しており、徐々にではあるが日本にも流入し始めている。ユーロ紙幣を扱う窓口が増え始めているので、必然的に偽造券も増えている。その精度は年々向上しており、偽造は困難と見られていたホログラムもかなり相当な精度で再現されている。

 ただし、今回発見された偽造20ユーロでは、米ドル紙幣の高精度偽造券「スーパーノート」のようなつくりにはなっていない。すなわち当該偽造券の印刷部分を拡大検査してみると、インクジェット式のプリンターにより印刷された可能性が高いことがわかる。この場合染料インクが使われることが多く、染料インクは非磁性インクであるため、磁気センサーを搭載した紙幣鑑定機での鑑定が可能であると考えられる。

 米ドル紙幣の場合、偽造については100$が圧倒的に多く発見されるのに対し、ユーロでは20、50、100の3金種の偽造券が多く出回っている。ユーロはいずれの金種もその右端にホログラムがあるが、いまのところ偽造ユーロについてはホログラムの光沢を観察することで、目視による鑑定が可能と思われる。



平成21年5月24日
偽造通貨対策研究所
事務局



【偽造20ユーロ紙幣の鑑定】

1 .全体写真
 1)表面

 印刷の色合いや鮮明度など、真正券とほとんど変わらない出来映えである。

 ただし、若干ホログラムの光沢が鈍い感じがする


(上:真正、下:偽造)
 2)裏面
 印刷の色合いや鮮明度など、真正券とほとんど変わらない出来映えである。

 
(上:真正、下:偽造)
 
2 .拡大写真(表面)
 1)マイクロ文字−1
    「EYPΩ」の20 

真正券
 真正券ではギリシャ文字「EYPΩ」の中に20を連記したマイクロ文字(右上がりに傾斜)が印刷されている。

 
(上:真正、下:偽造)
偽造券
 偽造券ではこれが不鮮明で判然とせず、再現されているとは言えない。


 2)ホログラム 
  (上:真正、下:偽造)
真正券
 真正券ではホログラム内にはマイクロ文字「EYPΩ」が連記されている。「20」の文字は大きさを変え重ねて印刷されている。
偽造券
 偽造券ではホログラムの解析がほとんど見られないため、マイクロ文字「EYPΩ」や「20」の文字の重ね印刷は見受けられない。
 3)マイクロ文字(裏面 
 (上:真正、下:偽造)
真正券
 裏面にデザインされた橋の橋脚部分には水面をイメージした横線に約200ミクロンの大きさのマイクロ文字「EURO EYPΩ」が隠されている。

 

偽造券
 偽造券ではこれが再現されておらず、視認できない。
 4)潜像文字
(上:真正、下:偽造)
真正券
 裏面左下には「EURO」、「EYPΩ」、「20」の文字が潜像として印刷されている。

偽造券
 偽造券ではこれが再現されておらず、視認できない。
3 .透過光写真(表裏面)
 1)すかし、漉き入れ、スレッド
(上:真正、下:偽造)
真正券
 真正券ではとびらのように見えるすかし、縦4本の漉き入れ、文字20のすかしが視認できる。セキュリティースレッドも棒状に埋設されていることがわかる。
偽造券
 偽造券ではとびらのように見えるすかしのみ印刷で再現され、その他は再現されておらず、視認はできない。
セキュリティースレッドは見受けられない。
 2)透過拡大写真(すかし) (上:真正、下:偽造)
真正券
 真正券では
@とびらのように見えるすかし
A縦4本の漉き入れ
B文字20のすかし
が視認できる。
偽造券
 偽造券では
@とびらのように見えるすかしは印刷
A縦4本の漉き入れはない
B文字20のすかしはない
のように再現されていない。
 3)透過拡大写真(合わせ印刷) (表面左上)     (裏面右上)
(上:真正、下:偽造)
真正券
 片面だけでは意味不明のマークが、透過することにより、それぞれの画像が重合することで意味をなす。
偽造券
 偽造券では重合画像がずれて20と明瞭には視認できない。
       
4 .紫外線写真
(上:真正、下:偽造)
 1)表面

真正券
  券面に紫外線を照射する。真正券では随所に黄色とオレンジ色に発色する蛍光マークが印刷されている。ほこりのように光って見えるの光学繊維が混抄されているためである。
(UVカットフィルターを使用して撮影)
偽造券
  偽造券では発色する蛍光マークは印刷されていない。逆にすかしが印刷により再現されているため、蛍光反応を示している。本来すかしは反射光では視認できないはずである。
(上:真正、下:偽造)
 2)裏面

真正券
 真正券では随所に蛍光マークが印刷されている。
偽造券
 偽造券では蛍光印刷は見受けられない。
5 .赤外線写真 (上:真正、下:偽造)
 1)表面(真正券)
真正券
 真正券では、一部に赤外線インクが使用されており、特定波長の赤外線をあてると画像が消えたように見える。ただし、視認はTVモニターを介する必要がある。
偽造券
 偽造券では意図されていないため、真正券とは異なる画像が視認される。
 2)裏面(真正券)
真正券
 真正券では、中央縦方向にユーロマークと20の文字が見受けられる。いわゆるパールインクによる印刷で、傾けると真珠のような光沢が見受けられる。
偽造券
 偽造券では、パールインクによる印刷は施工がなく、当然視認もできない。

6 .磁気反応写真 (上:真正、下:偽造)
真正券
 真正券では磁性インクが使用されているため、印刷画像なりに磁気反応を生じ、右図のような山谷(やまたに)パターンができる。
偽造券
 偽造券では非磁性インク(すなわち普通のインク)にため磁気反応は見られない。このため磁気センサーを搭載した紙幣鑑定機であれば鑑定できる可能性が高い。
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