英(スターリング)ポンド紙幣(真正券)の偽造対策   
 ポンド紙幣の偽造は国内での発見事例は極めて少ない。特にユーロ紙幣が発行された2002年からは特にその傾向は顕著である。

本稿では、真正ポンド紙幣に施された偽造対策に注目し、その手法を理解することをねらいとしている。偽造券の多くはオフセットなどの商業平版印刷でつくられており、少量であればカラープリンターやコピー機が用いられる傾向にある。

 そこで、真正券の特徴を解説した後、たとえば「カラーコピーでは〜.......」のような注釈をつけることとした。

読者におかれては、実際に外貨両替の窓口を想定し、可能であればやや高倍率のルーペや紫外線・透過光鑑定装置などを用い真正券に見られる透過や蛍光反応などを体験的に視認しておくことをおすすめしたい。

  
(2005/10/30マニュアル作成)
【表面】
1.肖像画の首の部分のマイクロ文字(表面右下部)
      
  肖像画人物の首部分に施され ている約200ミクロンの大きさのマイ クロ文字「TWENTY*20*TWENTY*20〜」の文言が連鎖印刷されている。

 マイクロ文字は微細なためカラーコピー機などで偽造目的で複製すると、かすれたり、つぶれたりして再現不能となる対策である。

さらに、よくみると文字画線にインクの盛り上がりが感じられる。英ポンドにおいては近年偽造防止対策として多くの通貨が採り入れている深凹版印刷が施されている。










 

(真正券の拡大写真)
 
2.深凹版印刷(銀行名などの文言の印刷に見られる:表面左中央、中央上)
 表面中央上と左中央部分には地紋模様の上に深凹版印刷がBank of Englandの文言に施されている。

この分は体感的な鑑定が可能である。すなわち、指のはらやツメ先でかるく触れると相当な凹凸(あるいはがさつき)を感ずるはずである。

ただし、中間加工に入念な偽造券では裏面から刻印を打ち、用紙にエンボス加工をくわえる事例も見受けられるため、注意を要する。


 凹版印刷によるインクの盛り上がりを「インタグリオが強い」などと表現する場合がある。

 立体的な視認を行うには、ちょっとしたコツが必要である。参考までに説明すると、照明器具などの光源にできるだけ紙面を近づけ、照明が斜光線の状態であたるように工夫し、そこにルーペをおいて見ると、右写真のように立体的な画像が得られる次第である。


 
 
(真正券の拡大写真)
                  
3.金種マークに見られる微細並行集合線(表面の左上)
 表面左上部には「£ 20」の表記が見られる。太い線と細い線が交互にあり文字のかたちをあらわしている。カラーコピーなどの偽造券ではこのような微細が画線が集まる部分は色分解の段階で画線が寄りつき、いわゆるベタ塗抹状の印刷になりがちである。  
表面左上部にも金種マーク「20」に微細並行集合線が見られるが、こちらは並行線がクロスし、より細密な印刷となっている。
(真正券の拡大写真)
4.フォログラム(表面左中)
 英ポンド紙幣に施されているフォログラムは右写真のように3つの画像を表現する。すなわち金種マーク「20」、次にやや小さい文字で同じく金種の「202020〜」の連鎖印刷、さらに、人がつえのような棒状のものを持ち、腰掛けている画像である。

 なお、人の画像の下にマイクロ文字で20202020〜の連鎖印刷が施されている点も見逃せない。偽造券ではフォログラム中のマイクロ文字が再現された例はほとんど見られない。
「202020〜」の連鎖印刷
人がつえのような棒状のものを持ち、腰掛けている画像
(真正券の拡大写真)
5.記番号は凸版印刷(表面左右の2カ所)
文字の輪郭部分にはインクがはみ出すように固着している。凸版印刷特有の現象マージナルゾーンだ。
マージナルゾーンは2カ所の記番号いずれにも視認できる。

文字の輪郭部分にはインクがはみ出すように固着している。凸版印刷特有の現象だ。
(真正券の拡大写真)
6.窓開きセキュリティースレッド
 窓開きセキュリティースレッドの場合、偽造が容易なためか、紙の上から銀紙状のシールを貼り再現された例が散見される。真正券のセキュリティースレッドは右写真のように、用紙の中に存在している。
(真正券の拡大写真)
7.透過光によるすかしとセキュリティースレッド混抄状態の視認
セキュリティースレッドの混抄部分には階調をなす漉き入れが見られる。
肖像画のすかしは印刷の肖像画とは顔の向きが逆である。
8.紫外線による蛍光反応
表面に紫外線をあてると、自然光のもとでは見えなかった金種マーク「20」が蛍光反応として黄色と赤色に発色してあらわれる。

さらに、ホログラムについても若干の蛍光反応が生ずる。これはフォログラムを紙面に貼る接着剤の作用によるものちお思われるが、偽造防止対策となっている。

       表面                裏面
8.世界の通貨ニュースへリンク 50£    
20£     
10£       
        
 以上、20£紙幣を例に解説したが、各金種ともほぼ同じ偽造防止対策が施されています。
紫外線については紫外線・透過光鑑定機UVD−1型またはSC1102型のご使用をおすすめいたします。各機器の斡旋サイトは以下のとおり。

http://homepage3.nifty.com/cdr/d1.htm
    問い合わせ先 会社 TEL03-3541-1951 FAX03-3541-1952(日本シーディーアール(株)
          
★本マニュアルは外部への公表はお控え下さい。★
 
偽造通貨対策研究所

戻る